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I AM SACRIFICE BLOOD ◆DiyZPZG5M6 「どうして……こんなことを……殺し合いなんてわたしにできないよ……」 見ず知らずの場所に連れてこられ、最後の一人となるまで殺し合え―― その時はドッキリ番組の撮影か何かに呼ばれたのだろうと、事実を楽観的に受け取っていた。 いや、そもそもいきなり連れてこられた時点で事態がおかしいことはわかっていたはず。 でもわたしはその事実を受け止めるのが怖くて、テレビ番組のロケと一種の現実逃避をしていた。 だがそんな都合の良い妄想は血に塗れた冷たい現実にいともたやすく切り裂かれる。 たった三十分にも満たない時間で、四人の人命が一瞬にして奪われたのだった。 「あの二人まで死んじゃうなんて……」 わたしは赤い霧となって消滅した二人の女の子を思い出す。 正確には『二人』と表現するのは間違いかもしれない。 ノゾミちゃんとミカゲちゃん、彼女たちは人に在らざるあやかしの者なのだから。 そしてわたしと浅からぬ因縁がある者だった。 わたし――羽藤桂はいたって普通の女の子。運動能力も成績の人並み。 友達とおしゃべりやショッピングなどを楽しむ普通の女子高生。 趣味は読書と……もう二つ。 どちらも『普通』の女子高生らしくない趣味、落語と時代劇。 落語は有名どころな噺はそらで言えるぐらい記憶しているし、 時代劇も近所のお年寄り顔負けの知識が自慢である。えっへん。 そんなどこにでもある日常を普通の毎日を過ごしていたわたしだが、あの夏のできごとを境に一変した。 ことの始まりは母親の死だった。とくに不審な死でもなく過労が祟ってのこと。 お母さんの葬儀やその事務に追われ悲しむ暇もないわたしにある知らせが届く、それは税理士からのものだった。 母子家庭であったわたしのお母さんが亡くなったことで発生する遺産の管理についての話だった。 その話によるとわたしが物心つく前に死んだお父さんの実家が、無人のままわたしの名義で相続されていたらしいのである。 税理士さんの話はわたしにはさっぱりだったけど、とにかく相続税か何やらでややこしいことになるので、 その家を相続するか放棄するかを決めて欲しいとのことである。 とにかくその家を一度見なくては相続も放棄も決められないので、 わたしは夏休みを利用して父の実家にある片田舎の町、経観塚に赴いたのである。 経観塚の地で遭遇したあの一件はわたしに非日常の世界をまざまざと見せ付けた。 わたしの一族に秘められたある力を巡った事件である。 わたし――代々羽藤の名に連なる人間は『贄の血』を受け継いでいる。 贄の血は人にあらざる者、つまり鬼や妖怪のような超常存在がその血を口にすると、飛躍的に己の力を増す特殊な体質なのだ。 故に羽藤の人間は古くからその手の存在に狙われてきた一族だった。 そして羽藤の血を受け継ぐ人間であるわたしは経観塚の地でさまざまな妖の者に命を狙われるはめになったのである。 だけどそれら一連の事件はわたしの大切な人たちの協力で一応の解決となり、再び日常が戻ってきた。 はずだった。 「またこんなことに……」 再び戻って来た日常を謳歌するその矢先に、見ず知らずの場所に連れてこられ殺し合いをさせられる。 できることなら逃げ出したいけどそれは無理というもの。 あのノゾミちゃんとミカゲちゃんですら一瞬にして滅ぼされた。 彼女たちは経観塚でわたしの血を狙って現れた妖怪だった。 わたしからすると自分の命を狙う敵ではあるのだが、なす術もなく消滅させられた二人に複雑な気持ちを抱いていた。 あの二人は人間ではない鬼、妖怪の類、普通の人間には到底太刀打ちできない力を持っている。 だけどあの神崎と名乗った男の人はたった一太刀で彼女たちを滅ぼし、赤い霧へと還元した。 「あれ……? おかしいよこれ……なんであそこにノゾミちゃんとミカゲちゃんがいたの???」 信じられない出来事で思考が麻痺していたのだろうか、わたしはある奇妙な点に気がついていなかった。 今ごろになってある疑問が噴出する。 それは何か? あの場に彼女たちが存在していること事態がおかしいのだ。 経観塚の地に纏わる事件が解決したことであの二人は消滅したはずだった。 そしてノゾミちゃんは言っていた『私達は主さまを蘇らせるために忙しいの』と。 彼女たちを使役する山の神ももういないはずなのに…… わからない、脳の中に蜘蛛の巣が張られたように不快な感覚。 理解できないことを無理して理解しようとして脳が煙が吹きそうだった。 これ以上考えても答えが出るわけもなし、結局わたしは二人の存在について深く考えることを止めた。 「……あの子、大丈夫かな」 頭を吹き飛ばされた男の子の傍らで泣き叫ぶ女の子の姿を思い出す。 確か柚原このみと呼ばれた女の子、半狂乱になった彼女はうわごとのように彼の名を呟いていた。 その痛々しい姿にわたしの心も張り裂けそうなぐらい痛む。 そんな彼女に言峰と名乗る男は無慈悲に追い討ちをかける。 わたしの耳にもはっきりと聞こえる電子音、死へのカウントダウンが彼女を襲う。 誰も彼女を助けられない、わたしもその光景を呆然と眺めているだけだった。 だけど、そんな中、自分の命を呈してでも彼女を救おうとした女性がいた。 自分の命と引き換えに首輪の爆破を止めろ―― 臆せずにに毅然とした態度で、あの場に居合わせた者すべてに聞こえるほど凛とした力強い声で嘆願した。 神父は彼女の願いを聞き届け、柚原このみの首輪の爆破を停止した。 その代わりに―― 「ひどいよ……なんでこんなこと平気でできるの……?」 自然と涙が溢れてくる、全くの見知らぬ他人の出来事なのにまるで自分のことのように感じられた。 『このみ、雄二――頑張って生きてね』 あの人の最期の声と顔が心に焼き付いていた。 数秒後に迫る自分の死に取り乱すことも無く、自分の運命を受け入れ遺された者の安寧を祈る彼女。 優しい笑顔で彼女は最期の言葉を紡ぐ。 そしてその決意を踏みにじる冒涜の赤い飛沫が辺りを染め上げる。 世界で最も美しいものと最も醜いものを同時に見たような気分だった。 目の前で大切な人を二人も失った彼女の悲しみと絶望は想像に尽くしがたい。 もし、彼女たちに再会できたのならその時は力になってあげたい。 贄の血以外はたいしたことのできないわたしだけど、せめて側にいてあげたい。 彼女たちの絆を知らずにわたし程度がそんなこと軽々しく言うのは憚れるけど、それでも…… ◆ ◆ ◆ 「そういえばここ……どこなんだろう……」 これまで起きた事態をを把握するために考えすぎていたのか、 自分がどこにいて、どこに向かって歩いていたのを完全に意識の外に追いやっていたらしい。 わたしは足を止め、周囲を見渡す。 アスファルトによって舗装された道、学校のグラウンドよりも遥かに広い、だだっ広い敷地。 周りに建物はなく遠くに建物らしき影があるが周りは闇に包まれ詳しいシルエットまではわからない。 ただ一直線に伸びたアスファルトの道が存在しているだけだった。 白線で描かれた矢印や数字、等間隔に設置された白や黄の灯りが道路の輪郭を浮き上がらせ、 ここが普通の道ではないことだけを伺い知ることができた。 「なんだろうこの道……高速道路じゃないよね……」 ふと見上げると、百メートルほど離れた路上に大きなシルエットが月明かりに浮かび上がっていた。 ここからでは良く見えない、もっとよく近づいてみよう。 百メートルほど歩いても道に終わりは見えない。 そしてわたしの目の前に影の正体が姿を現した。 「飛……行機……? でもこれ……?」 全長およそ二十メートル、高さは五メートルぐらい。 旅客機と比べるとずっと小さなサイズ。 でも旅客機とは違って鋭角的な機首、小さな操縦席、三角形の翼、二つの垂直尾翼。 翼の下にはエンジンは無く、エンジンは尾翼の側に二つ。 そして翼の下にぶら下がった円筒形のミサイル。 明らか普通の飛行機とは異質の、攻撃的なデザインだった。 それはよく映画で見る――軍用の戦闘機だった。 「そっかあ、ここ滑走路だったんだ」 目の前の物体の正体に気がついたことで今自分がいる場所がわかる。 たしかに滑走路ならこの道路の長さと広さに納得できた。 さっそくわたしは地図を広げてみる。 地図には重要そうな施設がしるされており、学校や病院、コンサートホールなどが記されその中に空港の二文字を発見した。 B-7からC-8に向かって引かれた赤い直線と空港の文字、赤い直線は滑走路を表しているのだろう。 わたしは地図から目を離し、戦闘機を見上げる。 「これに乗って……なんて無理、だよね……」 ため息をつくわたし。 もちろんわたしに飛行機を動かす技術もないし、例え動かせても島の外に出た瞬間に首輪が爆発するに違いない。 わたしにとってそれは無用の長物だった。 「それにしてもヘンな色」 そっと機体に手を触れる。ひんやりとした金属の質感。 覚めるような青い塗装がなされていた。こういうのは灰色っぽい塗装が普通だと思っていたのに。 あらためて目をこらし機体を眺める、どうやら機体に何か描かれているようだ。 機首付近に『765』と描かれた数字。 機体側面に英字で『THEiDOLM@STER』 そしてなにより垂直尾翼に描かれた女の人の姿がすごく場違いな雰囲気を醸し出していた。 年の頃はわたしと同じぐらい、煌びやかな服を着ており長くて綺麗な黒髪が印象的だ。 なんでこんな目立つ塗装を戦闘機に施したのか理解できそうにない。 「……この塗装をした人のセンスを疑うよ」 わたしは腰を下ろしもう一度渡されたデイパックを中身を探る。 地図の他にランタン、水や食料そして―― 参加者名簿が目に入った。 わたしは急いで名簿を開く、嫌な予感と期待が入り混じった感覚。 そして見つける、わたしの名前の他に見知った名前が記されていることを。 千羽烏月 浅間サクヤ 若杉葛 ユメイ 「そ、んな……」 経観塚でわたしと関わった人の名前が記されいた。 知り合いの名前を見つけた喜びと、彼女たちも巻き込まれてしまったという悲しみ。 二つの感情が心の中で揺れ動く。 「なんとしてもみんなを探さないと――」 カツン そう思った瞬間、私の背後で音がした。 誰かの足音、機体を挟んで反対側から音がした。 どくんどくんと心臓が激しく脈打つ。 誰かが――いる。 「だ……誰かそこにいる……の?」 恐る恐る問いかける。 どうしようどうしよう……! 「何とも奇妙な血の臭いに釣られて来てみれば……ただの小娘か」 鈴を転がすような高い声。闇の中から、機体の影からその人物が私の前に姿を現した。 ◆ ◆ ◆ 「まったく……妾ともあろう者があのような者共に遅れを取ろうとは嘆かわしい 肝心の九郎とは離れ離れ、しかも契約も解除されていると来ている。あの甲斐性無しのマスターめ……」 ぐちぐちと愚痴をたれるその人物を月明かりが照らし出す。 青い月光がその白い少女を染め上げる。 わたしの目の前にいる人物は女の子だった。 年の頃は小学生の高学年ぐらい。日本人離れした顔つき 青い瞳に長い銀色の髪、透き通った白い肌、白いフリルがついた衣装。 女のわたしが見ても一目で美しいと認識させるほどの美少女だった。 見たところわたしに敵意は無いようだけど……さっきの言葉が気になった。 彼女は奇妙な血の臭いと言った。それの意味することはただ一つ、贄の血だ。 彼女はわたしの血に何かを感じている。わたしは警戒心を解かず、彼女に声をかける。 「あの……誰ですか」 「ん? ああすまぬな娘よ、ついついあの馬鹿を思い出してしまってな。変な愚痴をこぼしてしまったようだ」 「は、はあ……」 「しかし汝は面白い血を持っている。人にあらざる外道共を引き付ける血。 位階の低い外道共は言わずもがな、高位の精霊たる妾ですら甘美に酔いしれる臭いだからのう よくもまあこれまで生きてこられてきたものよ」 女の子は大昔のお姫様のような口調でわたしをまじまじと見つめる。 間違いない、この子はわたしの血の特性に気がついている。 そしてこの子もまた人にあらざる者……! 「あ、あなたも……わたしの血を……」 「はっ! 妾をその辺の下等な物共と一緒にするでないわ!」 女の子は腕を組み、頬を膨らませ怒る。 その仕草がどことなく可愛らしかった。 「別に妾は汝を獲って喰おうなんて気はないからな。血の臭いに引かれてここに来たまでだ それに丁度良い……娘よ、一時的ではあるが妾のマスターをやれ」 「はい? ……マスター?」 「どういうわけか九郎と交わした契約が解除されていてな、マスターがいないと妾も満足に力を振るえぬ。 汝は九郎よりも魔術の才は無さそうだが、誰とも契約しないよりはマシだからな」 九郎? 契約? マスター? 何のことを言ってるのかさっぱりわからない。 わたしの疑問をよそにまくし立てる女の子。 「あの……そもそもあなた誰ですか?」 「なんだ汝は知らぬのか? 妾こそアル・アジフ、かの狂えるアラブ人アヴドゥル・アルハザードによって 記された最強の魔導書『ネクロノミコン』の化身なり!」 「ねこのみかんさん……?」 「違う! ネ・ク・ロ・ノ・ミ・コ・ンだ! 正確に言うとネクロノミコンは英訳された際に付けられた名であり、 アラビア語で書かれた原題、すなわちアル・アジフが妾の真なる名だ」 「えっと……アルちゃんでいいのかな?」 「『ちゃん』付けは余計だがまあいいだろう。汝の名は何と言う?」 「羽藤桂……」 「桂かよかろう、汝の名、我がページにしかと刻んだ。汝に問う、我と契約しこの世の悪を打ち払う魔術師となる覚悟はあるか?」 アルちゃんの翡翠色の瞳がまっすぐわたしを見つめる。 曇りの無い澄んだ瞳、そこにやましいものなど一片も感じられなかった。 「とは言え一時的なもの、本来のマスターと再会するまでの間だけだ。もちろん九郎と再会しても汝を見捨てはせぬ。安心しろ」 「で、でも……」 そんなこと簡単に承諾してもいいのだろうか…… 確かに一人でいるよりアルちゃんと一緒にいたほうが安全なのだろうけど…… 「あ~~~~~~!!!! はっきりせぬかこの甲斐性無し!!! 契約するのかしないのかはっきりせんか!」 迷うわたしにアルちゃんのカミナリが落ちた。 仕方ないよね、一人じゃ心細いし…… 「わかったよ……わたし、アルちゃんと契約する!」 「そうか……汝の決意しかと受け取った。では約束通り契約を……だがその前に」 その瞬間わたしの身体が総毛だった。 アルちゃんの瞳が怪しく輝いたように見えた。 ぞくりと背筋に冷や汗が流れ落ちる。 まるで蛇に睨まれた蛙とはこのこと。 「ちょっと……すまぬな」 「へ?」 どんっ、と軽く身体を押され思わずバランスを崩れ後ろに倒される。 一瞬何が起ったのかわからなかった。尻餅をついて背中が冷たいアスファルトに触れる。 ひんやりとしたアスファルトの硬い感触が気持ち悪い。 見上げた視線、その先には頬をわずかに桜色に染めたアルちゃんの顔が間近にあった。 「アル……ちゃん……?」 そこで気づく、 わたしの身体はアルちゃんに押し倒され――馬乗りになった状態で地面に組み伏せられていた。 アルちゃんの瞳は潤んだように怪しい光を湛え、妖しく濡れた吐息をわたしの首筋に吹きかけている。 「ゃ……ぁ……」 「ああ……何とも蟲惑的で淫靡な香り、汝が今まで生きていたことが不思議でかなわぬ ずっと我慢してきたが妾とてその血が持つ理に逆らうのは難しいものよ」 アルちゃんは完全に上気しきった表情と声でわたしを見つめている。 「何、すぐに済む。汝がじっとしていれば五分も掛からぬ……」 アルちゃんの右手にはいつの間にかにサバイバルナイフが握られていた。 「いいか……死にたくなければ絶対に動くでないぞ、ほんの少しその首の薄皮を切り裂き滲み出た汝の血を舐めるだけだ」 彼女とて人にあらざる者、今まで必死に贄の血の誘惑から耐えていたのだ。 わたしは身じろぎ一つせずアルちゃんの瞳を見つめる。 「そうだ、できるかぎり痛くはせぬ。だが汝がヘタに動けばこの刃が汝を深く傷つけてしまう そうなれば妾は汝の血を涸れ果てるまで喰らい続けることになる。だから――決して動くな」 「ん……」 アルちゃんはゆっくりと刃先を首にあて――その手の動きがとまる。 「どう……した……の?」 「……やはり首筋は怖い……胸元に変えさせてくれ」 わたしの問いにアルちゃんは少し恥ずかしげな表情で言った。 「いい……よ」 「すまぬ……」 アルちゃんはわたしの呼吸によって規則的に上下する胸に視線を移し凝視する。 「そんなに見つめられると恥ずかしいよ……」 「少し……服をずらしてもよいか?」 「う……ん」 アルちゃんはゆっくりとわたしの胸元のリボンに手を伸ばして掴み、ゆっくりとそれを引く。 しゅるりと衣擦れの音がして、はだけたリボンが地面に落ちる。 アルちゃんの十本の指がわたしの襟をつかみ開いてゆく。 ふと視線を外し空を仰ぎ見る、戦闘機の尾翼に描かれた女の人と目線が合ってしまう。 まるでこれから行われることを見られているようで、恥ずかしくて顔から火が出そうだった。 「どうした桂?」 「べっ……別に何でもない……よ。早くして……誰かに見られたら誤解されちゃうよ……」 「そのわりには妾に押し倒された時一切抵抗しなかったのは不思議よのう」 アルちゃんは唇を吊り上げにんまりと意地悪に笑う。 「いくぞ……桂」 「うん……アルちゃん」 はだけた胸元、小さめの胸の一部が露になる。 トクントクンと心臓が波打っているのが自分の耳にもはっきりと聞こえるのわかった。 ナイフの切っ先が胸元にあてがわれ、ゆっくりと刃を縦に引かれる。 「ッ……」 ちくりとした痛みが感じる。 ほんの数ミリの赤い筋が引かれ、ぷつぷつと赤い雫が浮かび上がって行く。 ぴちゃ……ぴちゃ…… アルちゃんの仔猫のような小さな舌がわたしの血に触れる。 「ん……んんっ……」 舌が肌に触れる感覚が何ともこそばゆく無意識に声を上げてしまう。 頭の中にあるイメージが浮かび上がる。 二本の赤い糸が絡まり合い一本の線に繋がり合う感覚。 他人に自分の血を与えたときに幾度となく感じたイメージ。 贄の血を介してわたしとアルちゃんが繋がり合う感覚だった。 数分が経ち、血が止まったわたしの胸から唇を離したアルちゃんは静かに言った。 「羽藤桂――妾は汝と契約する」 わたしは正式に……といっても本当のマスターが見つかるまでの間だけど、 アルちゃんとの契約を交わすことになった。 でも……本当にこれでよかったのかなあ……? 【B-7 空港 滑走路 深夜】 【羽藤桂@アカイイト】 【装備】:なし 【所持品】:支給品一式、ランダムアイテム×3 【状態】:健康 【思考・行動】 基本方針:島からの脱出 殺し合いに乗る気は皆無 1:アルと協力する 2:知り合いを探す 3:柚原このみが心配 4:ノゾミとミカゲの存在に疑問 【アル・アジフ@機神咆哮デモンベイン】 【装備】:サバイバルナイフ 【所持品】支給品一式、ランダムアイテム×2 【思考・行動】 基本方針:大十字九郎と合流し主催を打倒する 1:桂と協力する 2:九郎と再契約する 【備考】 ※桂とアルが契約しました。マギウススタイル及び、アルの制限の詳細は次の書き手に任せます ※桂はノゾミEND以外のルートから参戦です。誰のENDを迎えたかは次の書き手に任せます ※滑走路に如月千早のペイントが施されたF-15E戦闘機が放置されています 006 Piova 投下順 008 Spicy Drop Marble Jenka 時系列順 羽藤桂 044 契約、そして アル・アジフ
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Purple Rose Fusion TECHNICAL Rank Name Score Perfect Great Good Fast/Slow Best Combo Release Bonus Clear Rate Comment 1 葵 10930 910 1 0 0 911 100.0% 119.9% しんどすぎ 2 みつくり 10766 837 71 3 0 911 99.4% 118.1% 一つになれる意味を知る 3 ヨッシー 10720 827 77 7 0 911 98.2% 117.6% 登録者一覧 みつくり ヨッシー 葵
https://w.atwiki.jp/touhoukashi/pages/461.html
【登録タグ Hypothetical Box Act.2 T Unlucky Morpheus 亡き王女の為のセプテット 天外冬黄 曲】 【注意】 現在、このページはJavaScriptの利用が一時制限されています。この表示状態ではトラック情報が正しく表示されません。 この問題は、以下のいずれかが原因となっています。 ページがAMP表示となっている ウィキ内検索からページを表示している これを解決するには、こちらをクリックし、ページを通常表示にしてください。 /** General styling **/ @font-face { font-family Noto Sans JP ; font-display swap; font-style normal; font-weight 350; src url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/10/NotoSansCJKjp-DemiLight.woff2) format( woff2 ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/9/NotoSansCJKjp-DemiLight.woff) format( woff ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/8/NotoSansCJKjp-DemiLight.ttf) format( truetype ); } @font-face { font-family Noto Sans JP ; font-display swap; font-style normal; font-weight bold; src url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/13/NotoSansCJKjp-Medium.woff2) format( woff2 ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/12/NotoSansCJKjp-Medium.woff) format( woff ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/11/NotoSansCJKjp-Medium.ttf) format( truetype ); 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Pink Rose公式ホームページ 一応立ち上げました。会長からの連絡は基本的にここをメインとします。
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真紅の玉座は空いているかもしれないが、その宝物庫は満ちている。 The Crimson Throne may be empty, but its coffers are full. 基本セット2011 【M TG Wiki】 名前
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Matt Hazard Blood Bath and Beyond / マット・ハザード ブラッド・バス・アンド・ビヨンド D3パブリッシャー 2010年02月17日 XBLA PS3版は翌日の18日 Eat Lead マットハザードの逆襲の続編、横スクロールのACT 8bitの限界を突破した9bitと言うだけあって、3Dでモデリングされた背景やレトロゲームのパロディーが含まれていたりします
https://w.atwiki.jp/vipdetyuuni/pages/2585.html
【血声の代弁者】――blood language―― 相手、又は自身の血液を吸血し、叫びと共に血液を吐き出す事によって攻撃や防御を可能とする能力。 短く叫ぶ事により盾を創造し、長く叫ぶ事によって弾丸のように硬化させた血液を射出する事が出来る。 声が大きければ大きい程に威力や耐久度は増し、その逆も然りである。 血の声は”感情”をとても濃く含んでいるため、何度も吸血、代弁を繰り返すと精神面に負担がかかり、 自我を保てなくなる。自我を保てなくなった場合、自身の血液が暴走する。 血液が暴走すると、何度も大量の喀血や吐血が起こり、一時的な戦闘不能状態まで陥る。(命に別状は無い程度)
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【検索用 登録タグ CD CDR selePCD 優木きらCD 全国配信】 + 目次 目次 CD紹介 曲目 リンク コメント 前作 本作 次作 ReLief/CD- BloodLine - seleP 優木きら 発売:2022年5月31日 価格:¥1,980(税込) 流通:同人or配信 サークル:UFERIUM CD紹介 CD名:『BloodLine』(ブラッドライン) 約5年ぶりとなる、seleP6枚目のフルアルバム。 LilyとIAによる、エログロをコンセプトに病み曲・失恋曲など新曲、未発表曲、アルバム初収録曲を含む全14曲。 CD版には、優木きら氏描き下ろし全20Pフルカラーブックレットを付属。 全14曲Dios/シグナルP氏がマスタリングを担当。 曲目 BloodLine -feat.Lily- Martina -BloodLine Remix- -feat.Lily- Monochrome -feat.IA- DIETRICH -feat.IA- Noir -feat.Lily- REJECT -feat.Lily- Boyfriend -feat.IA- Farewell -feat.IA- LOVER -feat.Lily- False Awaken -feat.Lily- Ufena -feat.Lily- Trance Sequence -feat.Lily- Luna GABBA side- -feat.IA- BloodLess -feat.IA- リンク UFERIUM(作者ブログ) とらのあな iTunes Store コメント 名前 コメント
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vol.3-2②Blood 蒼ざめた馬の疾駆するがごとく 怒張した肉の塊、境界を超えゆく 阿鼻叫喚、慟哭の声、修羅、血股に溢るる 逃れうるすべなく、 喪われしものの還ることあらざる 時の流れは不可逆なればなり Eroparo of The Twilight 8月も半ばを過ぎた。始めた当初は疲労困憊だったアルバイトにも慣れてきて、元気がありあまってしようがないといった感じだ。 世間がお盆休みに入った火曜日。ぼくは久しぶりにデートをした。ただ、相手は晶良ではなかった。 前の晩。アルバイトを終えて帰宅し、夕食をとって風呂に入った後、ベッドに横になる。目を閉じて、ずっと気にかかっていたことについて、思いをめぐらせていた。だが、いい考えは浮かばない。 (なんとかの考え、休むに似たり、かぁ…。よしっ、会おう。会ってちゃんと話せば、きっと彼女はわかってくれるさ) あまりにも根拠のない自信ではあったが…。行動すること以外、解決策はないように思えた。 (とりあえずいいと思えることからやっていこう。そうすることでしか前に進めないから) ベッドから勢いよく跳ね起きパソコンを立ち上げる。そうして、急で悪いけど、あした会えないかな? とメールした。 返信はすぐにきた。ハイ! という文字が躍っていた。うれしさがにじみ出ている。それを見て、さっきの自信はかなりの部分が崩れ落ちていったが…、もう後戻りはできない。 朝9時に新宿のファストフード店で待ち合わせする。15分前に行ったにもかかわらず、彼女はすでにそこにいた。淡いパープルのキャミワンピを着て、店の前に立っていた。丸見えの白い肩にドキッとする。 「待たせちゃった?」 申し訳なさそうに聞くと、 「いえっ。わたしもいまきたばかりです」 うそだ、と思った。少し日焼けした顔、額の汗がかなりの時間待っていたことを雄弁に語っていた。 「暑いから、店の中で待っててくれればよかったのに」 と言うと、彼女はペロっと舌を出し、右手で拳をつくって自分の頭にコツンと当てながら、 「えへ。カイトさんに久しぶりに会えるんで、うれしくって早起きしちゃいました」 そんな姿を見ていたら、ふっと気が緩んでお腹がぐぅと鳴った。 「さぁ、入ろう。ぼく、お腹すいちゃった」 その場を動こうとせず、俯いて上目遣いでぼくを見るなつめ。 「…」 「? どしたの?」 「あの…、サンドイッチ、つくってきたんです」 「ほんとに? わ~い、なつめって料理上手だから、楽しみ」 つい、笑顔になってしまう。 (いっけないっ、きょうはシリアスな話をするつもりだったのに…) とはいえ、食欲には勝てそうにない。 「でも、ここで食べるわけにはいかないし…」 どうしたものかと思案する。この炎天下に外で食べる気にはとてもならない。 「2人きりになりたい、です」 消え入りそうな声でなつめが言う。はっとする。 「えっ!? それって…」 驚いて聞き返すが、なつめの目がぼくの言葉を遮る。 「2人きりに、なりたい」 ぼくの目を見て、今度ははっきりと言う。 「なつめ…」 「わたし、どこへでもついていきます」 (…う~ん。でも、まあ、ちょうどいいか) 「行こうか」 となつめに言い、手をつなぐ。その手をぎゅっと握り返して、 「はい」 なつめはほんとうにうれしそうに答えた。 (2人きりで話すしかないよね。もう会えないって言うのなんて。そんなの、だれにも見せられないよね) これまで2度入ったラブホテルに向かって歩きながら、ぼくはそんなことを考えていた。 部屋はどこでもよかった。適当に選んでキーを受け取る。こういうところに入るのはもちろん初めてだろう、なつめは黙って下を向いている。素肌の肩に手をかけて、なつめを押すようにエレベーターに乗った。 部屋に入るなりなつめは振り向き、ぼくの胸に飛び込んできた。出鼻をくじかれ焦る。 「なつめ、最初にぼくの話、聞いて」 やさしく諭すように話す。が、 「いやっ! いやです!」 「…」 「あぁ…、好き…、大好き、抱い…て、お願い」 「だめだよ、なつめ。こんなことしてたら、みんな、みんな不幸になっちゃうよぉ」 なつめはさらに力を込めて抱きついてくる。もう、食欲はどこかにいってしまっていた。 「わたしは…、わたしはだれにもしゃべりません!」 少し涙声のなつめ。ぼくは何も言えない。 「カイトさん。あなたは、わたしのこと、彼女に話したんですか?」 「話せるわけ、ないよ!」 思わず大きな声で否定する。 「でしょおぉ。2人の、2人だけの秘密…絶対、だれにもわからないっ」 泣きながら訴えるなつめ。涙とともに濡れた言葉がこぼれ落ちる。 「わたしのこと、嫌いですか?」 「いや…、そういうわけじゃないけど…」 「それなら、それなら…いいじゃないですかっ。わたし、絶対、カイトさんたちのおじゃまはしませんっ」 心を鬼にして、嫌いだ、そういえばよかった。だが、もう遅い。 「わたしから連絡はしませんっ。あなたからの、カイトさんからの呼び出し、それだけを待ってます。だから…、会えたときは…」 「なに?」 声が跳ね上がる。上ずっている。 「抱いて…。わたしを…抱いてっ! わたしのことだけ見てっ!」 ドクン。心臓から大量の血液が血管に送られる。これまで、モテたことはなかった。異性と普通に口をきくのは、ザ・ワールドが初めてだった。触れ合うのは、そのザ・ワールドで知り合った晶良が初めてだった。 ドクン。血液は体温を上げただけではなかった。体の一部に集まりだしてしまったのだ。 「なつめ…」 名前を口にした時点で負けだった。ぼくはなつめの細い体に腕をまわし、きつく、きつく抱きしめた。 「あぁ…」 なつめの漏らす吐息が、ぼくからぼくを引き剥がした。 「…ん…んん…んぅん…」 なつめの唇をむさぼる。やわらかな感触が、ますます血液を1か所に集める。 もう…だめ…だった。 「かわいい、かわいいよ」 耳に熱く語りかけ、それから、彼女を抱き上げてベッドに運ぶ。バイトのおかげか軽々と持ち上げることができた。 顔を上げてベッドを見た瞬間、ぼくの動きは止まった。 (わぁっ…、丸いベッド…回転ベッド…っていうの? こーゆーの) 我に返って周囲を見る。ピンクの、いかにも淫靡な照明が目を刺激する。おまけに壁はすべて鏡張りだ。さらに興奮してしまう。 ゆっくりとなつめをベッドに横たえ覆い被さる。唇をふさぎ、舌を口内深く侵入させ、ねぶりまわす。 「ん~…、んん…、ぅぅん」 服の上から胸を揉みしだくと、なつめが吐息を漏らす。さらに強く揉む。セックスに夢中になる前に、言っておかなければならないことがあった。手の動きを止めて、唇を離す。 「ごめんね。この間はひどいことをして」 「謝らないで…、お願い。それに、ひどいことされたなんて、思ってない」 「なつめ…」 「あなたが気持ちよくなってくれれば、私、それだけで…うれしい」 体を起こし、着ていたTシャツを脱ぐ。履いていたGパンも脱ぐ。ムスコはパンツが破れるんじゃないかというほど、いきりたっていた。 Gパンのポケットに入れていた財布からスキンを取り出し枕の横に置く。 それからなつめの体を起こし、キャミワンピと純白のブラジャーを体から取り去った。形のいい乳房がこぼれる。 「きれいな肌」 そう言って体をかがめ、乳首に唇を寄せる。 「あぁ…」 唇が触れそうになったところで舌を伸ばし嘗めると、 「ぁっ、あんっ」 びくっと体を震わせ、なつめが声をあげる。頂上から山腹にかけて、円を描くように舌を這わせていく。反対側の胸には右手をあてがい、触れるか触れないか微妙な間隔で掌を動かす。 「はぅ…くぅぅ…ん、はぁぁ、くぅん」 「かわいい声、もっと聞かせて」 「あぁ…」 体を支えているだけの力が入らない、そんな感じでなつめが倒れこむ。 のしかかり、唇と舌、両手をフルに使って、やわらかなふくらみを楽しむ。 「ぅんん、くぅぅん、くぅん、はっ…ぁぁあ」 愛撫の仕方を変えると、なつめの音色はさまざまに変化する。 右手が下がっていきパンティの中に潜り込む。 「足、広げて」 乳首を嘗め上げながら言う。なつめは喘ぎながら、 「あ…、は…ぃ」 と小さく返事をし、おずおずと足を広げていく。自由に動けるなった右手は喜々としてターゲットに向かい、そして捕らえた。人差し指を割れ目にあてがい、ゆっくりと挿入していく。 「あひっ、あぅぅ、あっ、ああっ」 「痛い? 怖い? やめる?」 「いやっ、やめない…で。あぁ…、痛く…ない…です」 言葉どおりとは思えない。なつめは目を閉じ、かわいい顔がゆがんでいる。 (きょうはひどいこと、しないようにしよう。やさしくしよう) 「無理しちゃだめだよ。なつめが嫌がることはしないよ」 「あぁ、うれしい…。好き、大好きっ」 パンティから右手を退けて、脱がしにかかる。 「お尻、上げて」 なつめは黙って言うとおりにしてくれる。体をずらし、なつめの両足の間に入る。膝を立たせ、その左右の膝に手を置いて広げていく。 「あぅ…、は、恥ずかしい…ですぅ」 なつめは両掌で顔を覆ってしまう。そんな仕草がますますぼくを興奮させる。左の太腿のちょうど真ん中あたりに、ちゅっと音を出してキス。 「あっ!」 なつめは短く声をあげ、上半身をびくっと震わせた。 舌を伸ばし、唾液で絵を描くように嘗めまわす。秘所にすっと近づき、ゆっくりと遠ざかる。膝の裏に手をやって持ち上げ、のぞき込むようにして裏側に舌を這わす。 「くっ…ぅぅん、ぅんっ、くぅん、あぁぁん」 舌が左足に移る。途中、秘所を横切ったときに、ちょっとだけ下から嘗め上げる。と、 「んあっ! あっ!」 激しい反応。しかし、焦らすように左足の太腿を舌と唇に味わわせる。右足と同じにはせず、唇も使ってあちこち吸った。ちゅっ、ちゅっと音をたてるたび、なつめは敏感にこたえる。 「あっ…あっ…んあっ…あぁっ…あっ!」 再びなつめの両膝を押し広げ、その中心に顔を近寄せる。羞恥に耐えかねて、なつめは両手で自分の秘所を隠してしまった。ぼくはお構いなしに舌を這わし、なつめの指を唾液まみれにしていく。 「はぁぁん、だ…めぇ…、ぅぅん、はぁぁ…、見、な、い、で、ぇ…」 「手、どかして。よく見せて」 言うことをきかないなつめ。よほど恥ずかしいのだろう。ぼくは彼女の手首をつかみ、少しだけ力を入れて最終防衛ラインをやすやすと突破した。 「あっ、だ…めぇ…、ぁぁ…、ぁあ…、ああ…」 息がかかるほどの距離まで顔を寄せ、じっくり観察する。それから、そこに唇を押しつけた。 なつめが反り返る。唇を動かし、舌を差し込むと、 「ぅぁぁああぁ、んあぁっ、あーっ」 これまでとは全然違う声。行為に熱中する。膝を持ち上げていた手に、指に次の指令を発する。それは舌が動きやすくなるよう、「そこ」を広げること。ピンク色の肉がのぞく。 顔を少し横にして、ディープキスをする感じでねっとりと唾液をすり込んでいく。 「ぁあっ! くっ…くぅぅ…んんん、あんっ、…はぁぁぁぁあっ」 喘ぎとともに染み出てくる愛液が、さらにぼくの舌の動きを潤滑する。それをすくい上げ、亀裂の上のほうで硬くしこってきた突起に塗りつけていく。 「ぅあっ! あっ…あ──っ! んぅあぁぁあっ!」 この声が、ぼくから冷静さを剥ぎ取り、性急な行動──挿入に移るきっかけになった。さらに、 「あぅぅっ、あっ! も…ぉ…だめぇ…」 相手は1度の経験しかないことを、すっかり忘れていた。ついこの間、晶良を絶頂に導いたせいで過信していたのかもしれない。 (もう入れてもいいよね) それは自分の都合だった。アルバイトで体力を使っているせいか、性欲処理は4日ほどご無沙汰していた。 そそくさと体を起こし、スキンを手に取る。なにを焦っているのか、うまく袋が破れない。それがさらに焦りを募らせる。やっとこさ、スキンをムスコにかぶせることができた。 「入れるよっ」 一方的な宣言。 「えっ!? …ぁ、ぁ、まだ…、あの…はぃ」 少し驚きつつも、ぼくの意向に逆らわないで受け入れようとするなつめ。 いつもなら、晶良になら…。もう少し、いや、もっとねちっこく。そこだけでなく、いろんなところに。あんなことや、こんなことをするのに…。なつめの表情を見る余裕も失せていた。 ただ、結合部だけをにらんで、あてがう。ムスコをなつめの蜜壷に埋没させていく。 「あぅっ、いっ…」 いい、だと思った。だが、それは「痛い」の「い」だった、「嫌」の「い」でもあった。 一気に奥まで突き入れる。 「あぐ…ぅ、っ…、た…ぃぃ」 (あっ、なつめって1回だけしか経験ないんだった) 遅ればせながら気が付く。 「痛かった? ごめん」 「ぃぇ…、だい…じょうぶ…です」 やめよう、と思う気持ちを押しのけさせたのは、熱い蜜壷の中できつく締めつけられているムスコに対する刺激、快感だった。 「動かすよ? ゆっくり、ね」 「は…はい」 なつめは唇をかみしめ、目をぎゅっと閉じて痛みをこらえている。 腰をそろりと少しだけ引く。なつめごと腰についてくるような感じでムスコは出てこない。 「あぅぅぅ」 なつめのかわいい顔が苦痛にゆがむ。ぼくはさらに腰を引く。ムスコが2センチほど空気に触れる。それを再び押し入れる。 「はぅぁっ! はぅぅっ」 シーツをつかんで引き上げるなつめ。見れば涙が頬を伝って流れ落ちている。 (これは…、やめよう) 「ごめん、ごめんね、なつめ。痛かったよね、ごめん」 痛みが少しでも小さければと願いながら、ぼくはなつめからムスコを抜いた。やっと目を開けたなつめに、もう一度、 「ごめん」 と謝り、やさしく唇を吸った。なつめはつかんでいたシーツから手を離し、ぼくの体に腕をまわして力を込めてくる。また涙がこぼれている。 「わたし…、わたし…、ごめんなさい」 唇を離すと、なつめは申し訳なさそうな顔をして謝る。 「いいんだよ。なつめが謝ることなんかないよ。ぼくが悪いんだ、焦っちゃったから…」 そう言ってからぼくは体を反転し、なつめの横に寝転がる。 (あ~、自己嫌悪…) なつめは体を起こし、ぼくの胸に頭を乗せる。ふんわりとした髪が少しくすぐったい。 ぼんやりとピンク色の天井を眺めていたら、まだ元気なムスコに何かが触れるのを感じた。 「?」 少し顔を持ち上げるが、なつめに遮られてムスコの様子はうかがえない。首がつりそうになるくらい、さらに頭を上げる。 「なつめ」 ようやく見えた。なつめがムスコに指をかけているではないか。ぼくが発した声にも反応はない。じっとムスコを見ている。ややあって、 「かわいそう…。男の人って…出さないとつらいんでしょう?」 「いや…、そんなこともないけど…」 「わたし…、うまくできるか、わかんないけど…」 「えっ?」 首が限界にきて、頭が枕に落ちる。同時になつめが体を下のほうにずらした。なつめは横座りになって、両手でムスコを包み込むように握り、恐る恐るスキンをはずした。 なつめの行為を止めることができなかった。いや、期待が勝っていた。わくわくしていた。 「ん…」 なつめはひざまずき、右手を根本に添え、左手は自分の体を支えるようにベッドについている。なつめがムスコを口の中に収めようとする。唇がまくれ上がり、それがなんともいやらしく見えた。 「は…、はぁ…、気持ち…いぃ」 その言葉をくすぐったそうに聞いて、なつめは一度ムスコを口から出し、 「わたし、頑張ります。もっと、もっと気持ちよくなってください」 ぼくのほうを見ながら言って、再びムスコと対峙した。 「どうすれば気持ちいいか、どんどん言ってくださいね」 手を伸ばせば触れられる距離なのに、なんだかすごく遠くの光景を見ているような錯覚に陥る。 ムスコは膨張しきって、いまにも破裂しそうなほど怒張している。鈴口からは透明な液体がにじんできていた。それを、なつめは舌を伸ばして嘗めた。快感が走る。 「あぅっ」 思わず声が漏れてしまう。パンパンに張って鈍い光沢を放っている亀頭に、なつめが舌を這わせていく。唾液が塗られ、さらに怪しく輝いていく。 (気持ち…いい…) ぼくは、よく見たいという欲求を抑えられなかった。なつめの髪を手でかきあげる。ほんの少し、なつめの頬が赤くなった気がした。 亀頭をあまさず嘗めたなつめは、口を大きく開けムスコを飲み込んでいった。それから、頭を上下させる。 「ん…、ん…、ぅんん…、ん…んふぅ」 苦しげに漏らす声も、たまに浮かべる苦悶の表情も、やわらかな唇を出たり入ったりする肉棒のまがまがしい姿も、すべてがぼくを興奮させた。 あまりの刺激に上半身をそらすと、下半身を突き上げる形になってしまい、ムスコはなつめの喉に届いてしまった。 「んぐっ…げほっ」 腕を伸ばし頭を跳ね上げて、吐き出すようにムスコを口から出すなつめ。 「あ、ご、ごめんっ。痛かった? だいじょおぶ?」 唾液と混じりあった透明の液体が、なつめの唇から垂れ下がっている。 「はぁ…はぁ…、はい、だいじょうぶ…です。ちょっと、びっくりしただけ、です…」 不意に訪れた休憩時間を利用して、ぼくは体をずりあげて起こすことにする。 「なつめ、体をどかして」 言うとおりにするなつめ。ぼくは後ろに腕を伸ばしてベッドの端につかまろうとした。と、何かスイッチのようなものに触れてしまう。 ウィーン…低く唸るような音を発してベッドがゆっくり回転を始めた。 「な…!?」 「わぁ…なんか、すごいです」 絶句したぼくの下方で、なつめが興味津々に目を輝かせて嬌声をあげる。 ベッドが1周したところで、ぼくは回転を止める。行為に集中したかった。 背中をキャビネットにもたれさせ、足を広げる。ムスコは天を指してそそり立ち、なつめの口唇での奉仕を待っている。 「さあ、続けて」 「はい」 返事をしながら、なつめは手首にしていた緑色のゴムで髪をまとめた。そうして、ぼくの両足の間におずおずと体を入れ、ムスコに手をかけた。 まっすぐに唇をムスコにあて、頭を下げていくなつめ。唇が徐々に広がり、あるところを通過すると、ほんの少しすぼまった。さらになつめの頭が下がる。 「んん…」 吐息を漏らしたところが限界のようだ。肉棒はまだ5㎝ほどが空気に触れている。根本まで口中に収めたい、しかし無理はしちゃいけない。 「ん…、んっ…、んん…、んっ…」 なつめはゆっくりとストロークし始めた。限界点に達すると声にならない声が漏れてくる。 「はぅっ、はっ…、はぅぅっ」 なつめの熱い口の中を往復する感触がムスコを刺激する。とくに亀頭の最下部、カリの部分を唇が往復するたび電流が走った。 ぼくは体を起こして右の腕を伸ばす。 「んぁ?」 なつめが上目遣いに見る。ぼくはなつめの胸をまさぐり、乳首を指ではさんだ。 「んっ! んぅんっ」 予期していない刺激になつめは体をびくっと震わせた。掌で柔らかな胸を揉んでいく。 「ぅんんっ、んぁぁ、んっ」 「動き、止めちゃだめだよ?」 ぼくはさらなる刺激を求める。なつめはストロークを再開させるが、ぼくには物足りない。 「つらかったら言ってね(って、言えないか…口をふさいでるんだもんね)、いや、右手を上げてね」 何を言われているのか理解できず、なつめの目から戸惑いがこぼれる。 「少し…、少しずつ、奥に入れていくよ」 ぼくは両手をなつめの頭にやり、そっと力を入れる。さっきより、なつめが限界としたポイントより1㎝ほど深く押し込む。なつめの唇が巻き込まれるのが見えた。 「んんっ!」 「あっ、だいじょぶ?」 なつめは目で「大丈夫です」と答える。ぼくはほっとしつつも満足を笑みで表し、なつめの頭を引き上げる。唇がカリに引っかかり、快感が走る。 「いいっ! 気持ちいいよ、なつめ」 亀頭が口からこぼれ出る前に、ぼくは腕に力を入れてなつめの頭を下げていく。さっきと同じ深度まできたとき、なつめの右手がぴくっと動く。 「へいき?」 なつめはくわえながらうなずく。その刹那、意思とは別に体が、いや快楽を追求する本能が動いた。 腰を突き上げる。 「ぅんっ!! んぐっ!」 なつめの苦悶は感じとれたが、もう我慢できなかった。 「ねぇ、なつめ、速くっ、もっと速く、もっと激しくして」 なつめは健気に、頭を一生懸命上下させる。しかし、その動きでは満足できなかった。 ぼくはなつめの頭をつかんだ腕にさらに力を入れ、 「こおっ! これくらい…、いや、もっと…、あっ、なつめっ、いいっ、いいよっ!」 「んん~っ、ぅん~っ、んっ! んっ、んっん~っ!」 なつめの頭が最下点に到達するタイミングを正確につかんで、ぼくの腰は勝手に突き上げる動きをする。右手を上げて苦しさを訴えるなつめだが、ぼくはそれを無視して左手でつかんでしまう。 右手でたばねた髪をつかんで激しく上下に動かし、腰のストロークをだんだんと大きくしていく。 なつめは右手でムスコを握り、なんとか指のぶん以上の侵入を防いでいる。細く白い指が唾液で濡れ、いやらしく光っている。 唐突に限界がきた。 「あ…っ、だ…めっ、もおっ、だめっ! いくっ! 出るっ! あぅぅっ、あっっ! 出すよっ!」 なつめの髪に広げた指がしっかりくい込み、反射的に逃げようとする動きを阻止する。腰がベッドから浮くほどムスコをなつめの口中深く突き入れる。ムスコが弾けた。 「んっっ! ん───っ! んっんっ…んっ…」 口内に大量の精液を勢いよくぶちまけられて、なつめの悲痛なうめきが部屋に響く。 「あぅぅっ、はぁぅぁぁ…、よ…かっ…たぁぁ」 なつめは力が抜けきってしまったみたいだった。 上目遣いするなつめの目の奥に戸惑いと、ちょっぴり抗議の色が混じっている。頭から手を離すと、なつめは両手をベッドについて、ゆっくりとムスコを口から引き抜いた。 なつめは口をきゅっと閉じている。少し頬がふくらみ、口の中にあるものの量が感じられる。ベッドにあひる座りをして目を閉じたなつめは、顔を少し持ち上げてそれを飲み下そうとする。 「なつめ…」 が、なつめは顔の前に両手をもっていき、白濁した液体をあふれさす。その流れはしばらく止まらなかった。 (いっぱい、出しちゃった…) 射精の余韻でぼんやりとしたぼくは、ローズピンクの唇と白い液体のコントラストにドキっとしながら、そんなことを思っていた。 なつめは涙のにじむ目を開けて、 「だめぇ…、飲、め、ないぃぃ」 はっと我に返ったぼくは、 「い、いいんだよっ、なつめ、そんな、飲むなんて…、いいんだよっ」 強い口調で言いながら、なつめを抱き上げていた。 「シャ、シャワー、シャワー浴びようっ」 なつめは掌の精液をこぼさないように、じっとそれを見ていた。 バスルームに駆け込む。なつめを降ろして大急ぎでシャワーからお湯を出し、まずなつめの手から精液を流した。それから、 「あ~ん、して」 白い糸をひいて粘ついている口内にまたドキっとするが、すぐにお湯ですすいでやる。 「なつめ…あの…」 ぼくが、ごめん、と言う前に、なつめが口をはさんだ。 「ごめんなさい…、あなたの…飲めなかった…」 「いいんだよっ、なつめ。そんなこと、いいんだよ。…また、ひどいことしちゃって、ごめんっ!」 なつめはふるふると顔を横に振り、 「ひどいなんて、思ってない。それより…あのぉ」 「なに?」 「気持ち、よかったですか?」 「うん…。その、すっごく、気持ちよかったよ」 それを聞いたなつめは、 「よかったぁ」 と無邪気な笑顔を見せた。うれしさが罪悪感を上まわる。ぼくはなつめの体をきつく抱きしめ、それからむさぼるように唇を吸った。さっきまで自分のムスコに奉仕してくれた唇がいとおしくてたまらなかった。 「ん…ぅぅん、あぁ…」 なつめの喜びが声になって漏れてくる。ぼくは舌を差し入れ、傷口を嘗めるように口内をまさぐった。 ぼくの背中にまわしたなつめの腕にも力が入っている。2人、夢中になってキスをした。しばらくキスを楽しんでから、ぼくは顔を離した。 「はあぁぁ…好き…」 と言ってなつめは、ぼくの胸に顔を埋めた。そのとき、ぼくのお腹がぐぅ~っと鳴った。 「プっ」 「あはは」 おでこをくっつけて笑った。その声はバスルームに幸せそうに反響した。 「お腹、すいちゃった」 「サンドイッチ、食べてください」 「うん。じゃあ、先に出てるね」 「はい」 ぼくはシャワーを自分の体に浴びせる。すると、なつめがムスコにそっと手を添え 「ここは…わたしが、洗ってあげる」 「えっ、い、いいよ」 拒否するが、なつめは強引にぼくの手からシャワーを奪い、そっとムスコにお湯をかけた。 「わたしのつばで汚しちゃったから…」 やさしくしごかれて残っていた汁がにじみ出て、なつめの指をまた汚した。なつめは指を口にくわえ、 「今度は…飲めるように、なつめ、頑張りますっ」 と、ザ・ワールドでのなつめのように元気に言った。ぼくは何を言っていいのかわからず、 「もう、きれいになったよ。ぼく、出るね。なつめも早く出ておいで。一緒に食べよう」 「はいっ!」 元気な返事がまた聞かれた バスタオルで体を拭き、それを腰に巻いてベッドに寝転がる。目を閉じると、不意にレイチェルの顔が浮かんできた。 「あっ!」 記憶がよみがえり、ぼくは思わず声を出していた。飛び起きてバスルームのほうを見る。シャワーの音に遮られ、声は届いていないようだった。 (そういえばあの日、レイチェルに口でしてもらったとき、「あかんっ。お初はあたしがいただくけど、お口くらいとっとかな、申し訳ないやん」って言われたんだっけ…) 「はぁ~ぁ」 (なんか、ぼくの『初めて』って晶良さんじゃない女性のほうが多い…) そこに、 「おまたせしましたぁ」 なんとなく自信にあふれた明るい声。バスタオル一枚の姿でなつめが出てきた。なつめはテーブルに投げ出した紙袋をかがんで取る。チラリとのぞいたお尻とその奥の暗がりにドキっとする。 ぼくはじっとしてられなくて立ち上がり、冷蔵庫からジュースを2本取り出して、テーブルの横にあるソファに腰をおろした。なつめがそっと寄り添うように座る。 「たくさん食べてください」 「うん。いただきまぁ~す」 ぼくは卵サンドを頬張った。 「おいっしい! おいしいよ、なつめ」 「よかったぁ。たくさんつくっちゃったから、どんどん食べてくださいね」 卵サンドを食べきらないうちに、ぼくはハムサンドに手を伸ばす。それを食べ終わると次はポテトサラダのサンドイッチ、それからまた卵サンドを平らげた。急いで食べたせいか、喉に詰まらせてしまう。 「げほっ、うぇ~」 ジュースを飲んでなんとか落ち着いた。なつめはそっと背中をさすってくれる。くすくすと笑いながら、 「慌てないでいいんですよ、サンドイッチは逃げませんから」 「うん。なつめの苦しさがちょっとわかったよ」 「えっ? なんのことですか」 「さっきの」 「いやっ」 真っ赤になって、手で顔を覆ってしまうなつめ。 「ふぅ~。お腹いっぱい。ごちそうさまっ」 ソファにもたれながら、ふくれたお腹を撫でる。なつめはようやく残ったサンドイッチに手をつけた。 「待っててくれたの?」 「はい。あんまりすごい勢いで食べるから、足りなくなるんじゃないかって、はらはらしてました」 (いいコだな、なつめって。きょうはできるだけ一緒にいてあげよう) それは問題の先送りでしかないのはわかっていたが、 (バレなければ…いいじゃないか、なあ) と囁く黒い自分の存在が大きくなっていくのを自覚してもいた。 「もう少し、残しとけばよかったかな」 「いえ、そんな。わたしはこれくらいでお腹いっぱいです」 「あとでケーキ食べにいこうよ。ぼく、バイトしてるから、ご馳走させて」 「カイトさん、やさしい…。なんか感激です! ありがとうございます! うれしい!」 心の底から喜んでいるのが伝わってくる。 「じゃあ、その前に…」 「えっ? ん、ぅんん…」 軽いキスをして、抱き上げ 「今度はぼくがなつめを気持ちよくしてあげる」 耳元でささやいて、ベッドになつめをそっと寝かせた。唇を吸いながらバスタオルをほどき、柔らかな胸に掌をあてた。 「ん…んふぅ…」 なつめの唇に舌を這わせ、先ほどの奉仕に対しての感謝の意を表す。くすぐったそうに、それでいて気持ちよさそうに、なつめは身をよじらせる。 「くぅ…ぅん、ぁぁあ…ぁん」 半開きの口に舌を差し込み、なつめの舌を絡め取る。胸に置いた手は次第に力を増していった。 「ん…、んふぅ…、あんっ!」 耳たぶを、首筋を執拗に愛撫していくと、なつめの喘ぎ声は早く、そして大きくなっていった。 「ぁっ、ぁぁん…、あんっ、くふぅ…、あっ!」 なつめの体にのしかかるようにして、胸への愛撫に唇と舌が加わる。固くしこってきた乳首を唾液まみれにしていく。 「どう? なつめ、気持ちいい?」 「は…ぃ、とて…も、あぁんっ! 気持、ち…いぃぃぃ、あぅっ」 体がびくっと震えると、口からこぼれ出る声も振動する。ぼくのすることに敏感に反応する。 右手を胸から脇腹と、ゆっくり滑らせていく。陰毛をかき分けるように進んだ指は、秘裂をなぞるようにして止まった。 「あっ」 なつめは右手の甲を口元にあてて、恥じらいが漏れるのを隠そうとする。 くいっと人差し指を折り曲げると、熱いぬめりの中に沈んだ。 「はぁぁ…、あぁぁん、あぁぁ」 顎を上げ、目を閉じて声を漏らすなつめ。無理はしないつもりだったが、そこは十分に潤っていて、ぼくの指を引きずり込もうとしているかにさえ思えた。 ぬぷっと指をさらに奥に進める。 「んあぁぁっ、くぅぅ…」 いままでより大きな声に驚き、ぼくはあわてて指を引き抜く。 「痛かった? ごめんね」 「ぃぇ…痛くはない、です」 「ん」 ぼくは体をずり下げながら、指の動きを再開させた。体をなつめの両足の間に入れ、おもむろにクリトリスを唇ではさみ、舌で嘗めあげた。 「ひぃゃぁんっ」 なつめは体をのけぞらし、聞いたことのない喘ぎ声をあげた。唇と舌の動きを大きく速くする。指を再び挿入し、出し入れさせる。 「あ──っ、あっ、あっ、あ──っ、んあ──っ、あっ!」 なつめが体をぶるっと震わせたのを感じ、ぼくは身を起こして素早くスキンを装着。覆いかぶさって一気になつめを貫いた。 「あ────っ」 なつめがしがみついてくる。 「んあぁっ、好きっ…、好きぃっ」 ぼくはじっとして動かず、なつめの息遣いが戻ってくるのを待った。 「だいじょぶ? 痛くない?」 ぼくの問いかけに、なつめはようやく目を開け、答える。 「ん、ん。…だい…じょお…ぶ」 その目から涙がこぼれ落ちる。それを見て、動くのをためらうぼくに気づいたなつめは、 「ほんと…に…、だいじょおぶ…です…から…、はぁっ、ぁぅぅ」 こらえるような声が漏れる。なつめは口で息をしながら、 「はっ、はぅっ、わた…し、しあわせ…。はぁ、はぁぁ」 「なつめ…」 「だっ…て、好きな…人に、カイトさんに…抱かれてるんだもん…、あっ、はぁうっ」 複雑な気持ちで押し黙るぼくに向かって、なつめは顔をゆがませながらもさらに言葉を続ける。 「はぁ、はぁぁ…、だから…お願…い。わたしで…、わたしで、気持ちよくなって…くださ…い」 「なつめの中ね、すごく、気持ちいいんだよ」 「うれしい…」 そうつぶやいて目を閉じたなつめのまぶたにキスし、ぼくはゆっくりと腰を動かし始めた。徐々に深度を増していき、それにつれてスピードも上げていく。 「うっ、ぅぐっ、ぐっ、あ…あぁっ、あぅぅっ」 突き入れるたび、なつめの吐息が短く漏れる。痛みをこらえているのだろう、なつめは目をぎゅっと閉じ、顔の横に置いた左手はシーツをきつく握りしめている。 これまでの経験、短時間のインタバルをおいただけの2度目の交合とあって、なかなか射精の欲求は高まってこない。スキンを装着しているせいもあった。 腰をまわすように動かして刺激を求める。なつめの喘ぎがかすれていく。 「はぅ、ぅぅぅ、あぅ、あぐっ、はぁぁ」 さらになつめの両足を肩に乗せる。挿入が一段と深くなる。 「あぁぁぁぁ、あんっ、あ──っ」 それまで自分の体を支えていた右手は自由が利くようになり、胸への愛撫へと役割を変えた。腰の動きは直線的なものにシフトし、ストロークはムスコがなつめから抜けそうになるくらい大きくする。 「あぐっ、ひっ、ひぃっ、ぅあっ、あっ!」 「い…き…そ…おぉ、なつめっ、なつめっ、あぁ、出るっ、なつめぇぇっ、いくっ!」 声をあげ、ぼくは果てた。多量の精液がスキンをいっぱいに満たした。 「よかった…、とっても、よかったよ、なつめ」 やさしく言ってキスをする。なつめの目から涙のしずくがこぼれ落ちていく。 「痛かった? ごめんね、だいじょぶ?」 「はい、大丈夫、です。痛みは、初めてのときよりは…少ないです」 まだ、なつめの中にいたかったが、それはかわいそうだ。名残を惜しんでムスコをもう一度ぐいっと奥まで突き入れる。 「んぐぅっ!」 と、うめき声をあげ、顔をゆがませるなつめを見下ろしながら、ぼくはムスコを引き抜いた。 「ぁ…ぁぁ…」 痛みから解放されてほっとしたのか、なつめの表情が緩む。なつめはぼくの頭に手をもっていき、引き下ろそうと力を入れる。 「どうしたいの?」 「あ、あの、キス」 ぼくは願いを聞き入れて唇を重ね、ねっとりと舌を絡ませた。 しばらくしてから、ぼくは体を起こして自分の後処理をする。スキンを外し1回転させて縛る。それからティッシュでムスコを拭った。 なつめはじっとして動かない。ふと見ると白いシーツに赤い点がにじんでいる。 (また出血させちゃった…) ぼくはなつめを抱き起こし、 「ごめんね。痛かったよね、ほんとうにごめんっ」 「カイトさん…」 「血が…血が出てる…。ひどいことしたんだって思うよ、ぼく」 なつめは息子を見る母親のような、包み込むような温かい微笑を浮かべ、 「大丈夫ですよ。女は月に1度、血を出してるんですから」 「だって…」 血を見てすっかりビビってしまったぼくは、泣きそうになりながらなつめを見つめる。 「痛そうで、かわいそうだから、わたしのこと、もう抱かないって言われるほうが、ずっとつらい」 「でも、だって…」 「女なら、だれもが通らなくちゃいけない痛みなんですよ。その痛みを経験させてくれたのが、あなたでよかった」 ホテルを出ると、なつめが 「あのぉ、手、つないじゃだめ、ですか」 と恥ずかしそうに小声で聞いてくる。 「だめじゃないよ」 そう言って、ぼくは指を絡ませるようにして、なつめと手をつないだ。 (そういえば、晶良さん、汗かいちゃうからって言って、あんまり手をつながせてくれないなぁ) 一瞬、そんな考えが浮かんで、ぼくは顔をぶんぶんと横に振る。それを不思議そうになつめが見つめていた。 「あっ、そうだっ、ケーキ」 ごまかすように早口で話しかける。なつめは 「本屋さん、行きましょう」 「情報、仕入れるんだ」 「そうです。せっかくカイトさんと食べられるんだもん。おいしいケーキ、食べたいです」 ほんとうに喜んでいるのがわかる。心からそう言っているのがわかる。 (なつめって、ほんとにかわいいや。晶良さんのことは愛してるけど、なつめのことも好きになりそう) また顔を振る。 「あのひとのこと、考えてるんですか」 俯いたなつめがひとり言のようにつぶやく。 「えっ!? い、いや、そ、そんなこと、ない、よ」 「うそ」 「うそなんかついてないって。なつめのこと、好きかな…って、ちょっと思った」 ぼくの言葉に返事はなかった。なつめは俯いたまま顔を上げない。 「? どおしたの?」 心配して、顔をのぞきこむようにして聞く。なつめは涙ぐんでいる。 「うれしい…」 消え入りそうな声で漏らすなつめ。 「な、泣かないでっ、お、お願い」 慌てるぼくに、なつめは泣き笑いの顔を向け 「はい!」 と元気に答えた。PCを思い出させる細くつぶった目に浮かんだしずくに、夏の太陽が輝いていた。 ケーキ屋さんを出ると、なつめはいつにも増して丁寧にお辞儀をして帰っていった。 (できるだけ一緒にいよう、と思ったけど、これでよかったんだよね) まだ太陽は高い。家の近くの駅に着き電車から降りても、全然涼しくなってこない。ねっとりと不快な空気がまとわりついてくる。 「なんて…暑いんだ…」 永遠に明るいままなんじゃないかと思えてくる空を見上げ、うらめしそうにつぶやく。 「ただいまぁ」 家に戻ったぼくは無言で風呂場に向かいシャワーを浴びた。汗とともに、この嫌な空気も、そして罪悪感も洗い流せたら、どんなにいいだろうと思いながら。 夕飯はご飯一膳だけで箸を置く。どうしたの? と心配する声に、 「アルバイトの疲れ、かな。それに、きょうの暑さでバテた…。きょうはもう寝る。おやすみなさい」 母親の顔をまともに見られず、一方的に言って自分の部屋に戻った。 ベッドに身を投げて、目を右腕でふさぐ。深いタメ息を一つついて、ぼくは考える。 (いいのかな、このままで) もうひとりのぼくがささやく。 (バレやしないって。大丈夫。それに、なつめの体、すごく良かっただろ?) 実際、なつめとの性交は十二分の満足が得られるものだった。初めて口の中に出した快感、晶良とは違う柔らかな体、締めつけてくるあそこ…。痛いのをこらえる顔にも興奮させられた。 ぼくは自問自答を繰り返す。 (でも…、ぼくが、どうにかしたら、これって…終わるのかな?) 別のぼくが言う。 (終わるかもしれないし、終わらないかもしれない。…それはだれにもわからない) さらに自分に聞く。 (でも、何かを始めるためには、終わらせなきゃいけないことって、あるよね。…終わりにできるかな…これ) 別の自分が答える。 (終わりがこないことなんて、ない。ただ、いろんな終わり方があるだけ) 結論はもちろん出なかった。ぼくはいつの間にか眠っていた。